◆藤本なおや 委員  地籍調査事業について、「まち」デザイン賞、時間があればやります。
 では、午後もよろしくお願いします。
 地籍調査事業についてまずお伺いをいたしますが、この問題については今まで議会の中でもなかなか議論のなかったところでありまして、専門的なちょっと難しいところもあるものですから、かみ砕いて質問いたしますので、わかりやすい答弁を求めるものでありますので、よろしくお願いいたします。
 我が国における土地に関する記録、いわゆる登記所に備えつけられております地図の約半分は、明治時代の地租改正によってつくられた地図をもとにしたものであります。ですので、土地の境界が不明確であったり測量も不正確であったりするため、現状と必ずしも一致しないことが往々にしてある、このように言われておるわけであります。
 そこで、土地の実態を正確に把握する地籍調査を実施する必要があるわけですが、この項の質問の導入に当たりまして、地籍調査とはどのようなものなのか、また、国における今までの経緯も、確認の意味でお伺いをいたします。

◎土木担当部長 まず、地籍調査ですが、国土調査法に基づいて、1筆ごとの土地について、その所有者、地番、地目、境界、面積を調査、測量して、その結果を地籍図や地籍簿として作成するものが地籍調査でございます。
 国においては、主に都市部において地籍調査を促進するために、都市再生基本街区調査を実施するなど、都市部を進めてもらうように早期着工を求めてございます。

◆藤本なおや 委員  地籍調査は土地の実態調査でありまして、土地に関する戸籍の調査とも言えるわけなんですけれども、地籍調査が行われるとどういったことに役立つのか、また、地籍調査をしていないとどういったことが懸念されると区のほうは認識をしておるのでしょうか。

◎土木担当部長 今、委員がおっしゃったとおり、土地のトラブルが非常に多うございます。地籍調査を実施しますと、幾つかの効果がございます。1つは、公共事業や災害復旧事業を進めるときに非常に円滑に進む。また、まちづくりの計画を進めるときにも円滑に進むのではないかと考えてございます。また、土地にかかわるトラブルを未然に防止いたしまして、土地取引の円滑化にも役立つ。また、課税などの適正化にも役立つというようなことが考えられます。
 懸念は、どんなことが役立つかというその裏腹のことでございます。

◆藤本なおや 委員  それでは、地籍調査の事業主体はどこになっているんでしょうか。
 さらに、進め方について、どういったような流れで行われるのか、この辺もあわせて確認をさせてください。

◎土木担当部長 進める実施主体は、主に区市町村が行っております。
 進め方につきましては、まず準備段階といたしまして、事業の計画を策定し、街区の基準点の整備も行います。そして区民に説明会をやって十分な周知を行った後、道路や河川等の官民境界の調査、街区調査を行った後、民民の境界の調査、一筆調査といいますが、それを行った後、それらの成果を住民に閲覧して確認をいたします。それに基づいた地籍簿と地籍図を都知事の承認を受けます。そして最後に、それらのものを登記所に送って完了いたします。

◆藤本なおや 委員  地籍調査に要する経費はどのようになっているのでしょうか。

◎土木担当部長 国の補助金事業でございます。国が50%、東京都が25%、区が25%の負担割合になります。

◆藤本なおや 委員  地籍調査を区が実施主体となって行う場合に、今答弁があったとおり、国及び都から補助金が出る、こういうことでありました。
 国における地籍調査の考え方は今までの答弁であらかたわかったわけですが、一方、東京都ではどのようにこの地籍調査をとらえているのか。財政面からの協力体制は現段でどのようになっているのでしょうか。

◎土木担当部長 東京都といたしましては、震災後に迅速かつ計画的に都市の復興を図るために地籍調査を進めてほしいという考え方を持っております。また、先ほど申し上げたように、区の負担が非常に大きいということで、今年度から都区財調の中に新規に、地籍調査をやったら、区のほうに財政的な補てんをするというような考え方を持ってございます。

◆藤本なおや 委員  それでは、全国の地籍調査の実施状況について、どのくらい進んでいるのか、その進捗状況はいかがですか。

◎土木担当部長 全国では平均で大体47%進んでおります。
 それから、先ほどの答弁でございますが、都区財調については、まだ検討なので、はっきりしてございません。どうもすみません。一般財源で都区財調があるというように考えているところでございます。

◆藤本なおや 委員  全国の地籍の実施状況は約47%しか進んでいない、こういうことであります。都市部においてはまたさらに低い水準だと、こういうふうに聞き及んでおります。その進捗率を伺うとともに、特に東京区部における状況はどういうふうになっているのか、その辺はいかがですか。

◎土木担当部長 全国の都市部の平均で約19%ぐらい、23区の区部では約3%ぐらいしか進んでございません。

◆藤本なおや 委員  この地籍調査は、調査開始から約半世紀以上たっておるわけでして、進捗率が全国で47%という状況でありますから、単純にこれを計算しても、この日本の国土すべてを地籍調査するのに、これ以上、また60年以上かかるわけですから、特に都市部で調査が進まない理由、東京区部ですと3%ですか、こういった理由はどのようにとらえておるのでしょうか。

◎土木担当部長 都市部における進まない理由については、やはり密集地でございますので、土地の権利関係が複雑であるとともに、境界数が非常に多いことから、多くの時間と労力がかかるということでなかなか進まないということでございます。

◆藤本なおや 委員  大変前置きが長くなっておりますけれども、今までの質疑から拝察すると、杉並区もこの地籍調査の必要性を認識しているのかなと、このように思っております。
 しかし、聞くところによると、当区は地籍調査に着手をしていない自治体だ、こういうふうに言われております。この理由について、今答弁があったような都市部としての理由のほかに、区が抱えておるような何か独自な理由があって、この地籍調査に着手をしていないのか、その辺の理由があればお示しください。

◎土木担当部長 やはり長い年月と多額の費用を要すること、それから他区でも、進めているんですけれども、まだ本格化実施していないということで、いろいろな問題点や課題が非常に多いということで、杉並区としては、その辺をもうちょっとよく調査をして、どのように進めていったらよいかを今検討しているところでございます。

◆藤本なおや 委員  それでは、数字的なところを若干お聞きいたします。現在、区内における道路境界が画定しているのは、総面積に対して何%なんでしょうか。

◎土木担当部長 面積ではございませんが、区道の延長で約20%ぐらいが境界が画定されてございます。

◆藤本なおや 委員  今後、仮に、あと残り80%とかいろいろありますけれども、こういった地籍調査を行った場合、この杉並区内すべて完了するまでにどれくらいの年月を要すると想定をしておるのか。
 また、費用はどれくらいかかるのか、総額と区の負担額、さらに平方キロ単価を、あわせて、わかればお示しください。

◎土木担当部長 あくまでも概略でございますが、一般的に杉並区でやっても、あと数十年、四、五十年ぐらいはかかるのかなというふうに考えてございます。
 また、費用につきましても、約100億円ぐらいは現時点ではかかるのかなと。そのうち区の負担は4分の1でございますので、約25億円ぐらいかかります。
 あと、1平方キロメートル当たり、国としては3億円ぐらいかかるというような費用を算出してございます。

◆藤本なおや 委員  地籍調査には、1筆ごとの土地について関係者の立ち会いが必要になるわけでありまして、こういったことを含めて、職員の人員配置といったものについてはどのように考えているのか、必要だと思っているのか、この辺はいかがですか。

◎土木担当部長 現在、ほかの区でも五、六人の体制でやっているような状況でございます。本格的な実施になれば多くの人員が必要であり、また、専門の教育、指導育成も必要になるのかなというふうに考えてございます。

◆藤本なおや 委員  地籍調査事業を行う際には、まず基準点整備が重要なわけであります。しかし、この杉並区は地籍調査事業の着手に見通しが立っていない。こういうことから、国からの街区基準点成果の移管を未同意として、現在、杉並区の基準点はすべて閉鎖状態になっております。
 そこで、このような街区基準点の成果の移管を未同意としている自治体が、都内でこの杉並区以外にあるのかどうか、この辺はいかがですか。

◎土木担当部長 移管を受けていないのは、東京都では杉並区だけでございます。

◆藤本なおや 委員  このように街区基準点が使用できない状況を、当区はどのようにとらえているのか。
 また、昨年、不動産登記法が改正をされました。このことによって、土地の測量は、この基準点に基づき測量することが義務づけられたわけでありまして、こういったことを踏まえると、国の街区基準点成果の移管を即刻同意すべきものと考えますが、区の見解をお示しください。

◎土木担当部長 杉並区には国の街区基準点が約400点ぐらいあるわけですが、国の維持管理が悪くて、破損したり、なくなっている箇所がございます。再整備しないと使用ができない。その整備費も約8,000万ぐらいかかる。国では、地籍測量をやるならばセットで補助金も出すというような状況でございます。
 杉並区といたしましては、地籍測量とセットで国の補助金を使って、街区基準点を移管して使用してまいりたいと思います。
 また、測量の業界では、すぐに街区基準点を使用しなくても、仕事のほうには大きな影響はないというふうに考えてございます。

◆藤本なおや 委員  区が所有する土地、道路、水路はかけがえのない区の財産なわけです。その管理については、適切に区がその責務で行わなければいけないと私は考えております。震災による復興を速やかに行うという観点からも地籍調査は必要でありまして、その一方で、水路の上に勝手に家を建ててしまっている、こういった不法占有を取り締まることも必要ですし、さらには固定資産税をこういったケースで免れているといったこともあるわけですから、税の公平性という観点からも、この地籍調査事業というのは、私は杉並区でこれから必要になってくるのではないかと思いますが、改めて区の見解をお伺いいたします。

◎土木担当部長 地籍測量は、先ほど申し上げたように、意義があり、重要なものだと考えてございます。しかしながら、都市部での困難性、それから長い年月とか多額の経費を要します。他の区でもまだまだ本格的な実施に至ってない。先ほど申し上げたように、問題点や課題が多いので、よくそれらを調査して、どのように事業を進めていくか、慎重かつスピードを上げて、この検討を進めていきたいというふうに考えてございます。

◆藤本なおや 委員  ぜひお願いいたします。
 仮に今後区が地籍調査に取り組む際には、この事業の重要性、また進め方、こういったことも十分に区民に周知をしていかなくてはならない。そういった意味においても、わかりやすいパンフレットをつくったり、区の広報を積極的に用いて、地籍調査に対しての区民の理解が得られるような努力というものもあわせて今後必要になってくるのかなと、このように思っておりますが、この見解を伺って、この項の質問を終わりにいたします。

◎土木担当部長 事業を進めるときにおきましては、区民への周知は、いろいろな方法、手段をもって十分にして、区民の理解を求めて進めていくことが必要であるというふうに考えてございます